村々にとって近代とは何だったか。日常と災害の連続はいかに断ち切られたか。
刊行!
饗庭伸・青井哲人・池田浩敬・石槫督和・岡村健太郎・木村周平・辻本侑生(著)|山岸剛 (写真)『津波のあいだ、生きられた村』(鹿島出版会、2019) →amazon
2011年3月11日発生の東北太平洋沖地震が引き起こした津波災害は、いろいろな意味で歴史的に特異でした。多くの無名の撮影者による凄惨・精細な映像記録をえたこと、哲学から建築学まで従来必ずしも津波に関心を向けてこなかった専門性の基盤を揺さぶったこと、そして復興において尋常でない規模の人為的介入が図られていること・・・これらは歴史的に問われるべきことがらです。
しかし他方で、津波が自然的なものとして反復されてきたことも忘れてはなりません。つまり、自然的なものと歴史的なものとの交叉として災害はあります。そして歴史性を前景化させずにおかないのが近代なのでしょう。それは個人やイエから国家までの階層のマネジメント=ガバナンスを書き換えながら、災害そのものを変質させていきます。
当研究室では、下記の共同研究に参加し、民俗学・歴史学・防災学・都市計画学などの諸分野の皆さんとの議論を通じて、また何よりも綾里というひとつの場所を、地域の方々とともにじっくりと掘り下げる作業を通じて、社会・文化と、国家の形、その関係のありようを歴史的に考えています。
◉科学研究費補助金 平成26〜28年度 基盤研究(B)「津波常襲地における50年後を見据えた津波リスク軽減方策とその伝承に関する研究」(代表:饗庭伸)
メンバー:饗庭伸・池田浩敬・木村周平・青井哲人・岡村健太郎・石榑督和・熊倉永子・佐藤祥輔・村上暁信・山岸剛 + 常葉大学池田ゼミ・首都大学東京饗庭研究室・明治大学青井研究室
◉「津波と綾里 博物館展:歴史・復興・住まい」
岩手県三陸海岸に位置する綾里(りょうり)地区は、明治三陸大津波、昭和三陸大津波、東日本大震災の3度の大きな津波の被害を受けてきました。この地区において、地区の復興をサポートし、地区の歴史を調査してきた5つの大学のチームが、そこで得た知恵や知識を、地区の内外の方々と共有することをめざした、仮設の博物館を1年前に開設しました。
本展覧会サイト: →https://ryouri-expo.tumblr.com
メンバー:池田浩敬・木村周平・饗庭伸・青井哲人・岡村健太郎・石榑督和・熊倉永子・佐藤祥輔・村上暁信・山岸剛・伊藤暁(会場構成)・中野豪雄(グラフィックデザイン) + 常葉大学池田ゼミ・首都大学東京饗庭研究室・明治大学青井研究室
◉科学研究費補助金 平成29〜32年度 基盤研究(B)「災害に伴う地域の超長期的な変動の比較研究:東日本大震災被災地を事例に」(代表:木村周平)
メンバー:木村周平・饗庭伸・中野泰・川島秀一・青井哲人・岡村健太郎・石榑督和・池田浩敬・小谷竜介・浅野久枝