明治大学理工学部の建築史・建築論研究室(青井哲人研究室)のウェブサイトです。当研究室は2008年に発足し、2017年に10周年を迎えました。
歴史とは、自分が居る「今」という場所の成り立ち ── すなわちそれがどんな過去の出来事の配列によってできあがっているのか ── を知るためのアート(わざ、すべ)です。その配列は、私たちが組み立て、描くものです。つまり、歴史というアートは、出来事の配列のありよう、つまり時間のかたちを構想し、デザインすることとほとんど同義です。現在が過去でできていることは疑いのない事実ですが、そうしたデザインなしには過去は現在と結びついてきません。そして、私たちはどんな過去を生み出していけるのでしょうか。そんな視点から、当研究室では、建築史・都市史および建築理論におよぶ領域の幅広い問題を探求しています。
学生諸君には、まずもって「都市・建築を読む」ためのアート、「都市・建築の時間を構想する」ためのアートを学ぶこと、そのためにはフィールドワークや文献調査と理論化の往還を徹底すること、そして、いつも「考える自由」を手放さないこと、を信条に、研究室活動に関わって欲しいと思っています。
家具制作PJ ── 設計・積算・発注・施工のすべてを新4年生主体で ➤
台湾都市史研究PJ ── 都市と自然と宗教:『植民地神社と帝国日本』(2005) ── 都市組織、その切断と再生:『彰化一九〇六年』(2006) ── ティポロジア・ディナミカ。建物類型学の動態化 ➤ ── 寝床の植民地史。建築学的民族誌の試み ➤ ── 都市の存立を問う。都市群のネットワーク性と不安定性、そこから沸き起こる「都市への意思」。濁水渓流域研究(台湾都市史再構築/科研 2015-2019) ➤
福島アトラスPJ ── 空間と分離された社会。線を描く生と、線に沿う建築。NPO福島住まい・まちづくりネットワークはじめ多くの専門家たちとの共同作業。『福島アトラス01』(緊急概要総括/201703)、『福島アトラス02』(避難社会と住まい/201803)、『福島アトラス03』(前夜の環境世界/201803) ── ベニス・ビエンナーレ2018出展 ➤
綾里PJ ── ひとつの村は津波をどう経験してきたのか。生産・信仰・社会・空間。建築と民俗学。めぐる時間と矢の時間。饗庭科研(2014-16)→木村科研(2017-19) ➤
明大建築アーカイブス ── 神代雄一郎資料。データベース公開まであと一歩➤ ── 資料貸出:森美術館「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」(20180425~0917)、香川県立ミュージアム(2019予定)
神代雄一郎デザインサーヴェイ再訪PJ ── 列島の半世紀、集落と建築と建築家の半世紀。2018年夏開始。
TOR(Tokyo Outer Ring) ── 膨張する巨大都市の鼓動を、江戸市街の周辺=朱引外の多様性に聞く ➤
新国立競技場データベースPJ ── 新自由主義的建築生産の公共圏への侵入、コンペの不成立という事態の記録。➤
近代神社研究 ── 近代国民国家の神社とは。分厚い歴史的固有性の改変過程としての近代神社の固有性を考える。『明治神宮以前・以後』。藤田科研(2015-17) ── 明治神宮100年。
戦後建築史研究 ── 布野修司連続インタビュー ➤ ── 「建築と戦後70年」(日本建築学会建築討論) ── 戦後空間WG(日本建築学会歴史意匠委員会傘下)。いよいよ動きはじめました。
建築論 ── 相似/類似、形式/内容、類型/組織、工作/大地、相対/絶対、単一/複合、能動/受動 ── サブゼミや芸大建築論講義を通して重ねてきた議論を一冊にまとめました。➤青井哲人『ヨコとタテの建築論:モダン・ヒューマンとしての私たちと建築をめぐる15講』(慶応義塾大学出版会、2023)
Beidou, Taiwan, 2012
学部4年生は卒業設計・卒業論文のいずれかを選択します(例年、設計を選択する人が7〜8割です)。 また、大学院生は修士論文や博士論文に取り組んでいます。これら個人の研究では、各自が関心のあるテーマを立てており、日本や海外の都市史研究、災害復興史研究、作家研究・組織研究、技術史研究など多様です。
修士論文も基本的に自由です。毎年、個性ある高水準の研究論文が書かれています。
所属学生による修士論文・卒業論文・卒業設計の一覧を参照ください。
研究室ミーティングでは個人研究の発表討議を行います(通年)。
春学期のサブゼミでは実験的なリサーチトピックについて調査立案から成果発表までを4ヶ月弱で実践してみることで、ものごとを調べ、考え、他者と共有するための高度な方法を身につけます。秋学期は卒業設計ゼミと卒業論文・修士論文の個別指導によりそれぞれの成果をまとめていきます。
上記以外にも当研究室では、ゼミ旅行、ゼミ合宿、映画鑑賞会、他大学の研究室との合同ゼミなど、多様な活動を行っています。